10年以上前に辞めた大手塾のホームページを覗いてみた。
全国に100以上の支店(教場)があるのだけれど、詳しくみると誰が責任者か分かるので面白い。
調べてみると、知っている人が5分の1以下だった。
約10年間で約8割の人が辞めたという計算になる。
まだ残っている同期は幹部に近いポジション(中途半端な位置)なっていたりするので、ホームページにはでてきていない様子(数年前は若手のホープとして同期4人が登場していたが)。
そこらへんを加味すると、10年で7割強が退職するというくらいが妥当かなと思う。
私がいたころは入社から丸3年間で同期が3分の2くらいが辞めた記憶がある。
つまり、新卒採用者は3年で6割~7割は辞めるということ。
塾業界は中途採用も多いので正確にはつかみにくいが、全体としては10年で7~8割が退職というのは、かなりいい線いっている推測かと思う。
労働条件、労働環境は
給料は、それなりの結果をだしていれば、年齢相応の平均年収くらいはあったか。
勤務していた大手塾の30歳くらいの年収は、業績にも大きく左右されるが、平均すると400~500万円位だったはず。
ただし、年齢による定期昇給は3年か5年で終わり、後は役職と成果による昇給と賞与計算に変わる。
担当している支店(教場)で良い業績(会員数・売上・利益)を出さないと、30歳前から給料がまったく上がらない、下手すると下がる場合もある。
だから、35歳すぎてマネージャー(課長級?)くらいまで昇進していないと平均年収以下の可能性が高い。
マネージャーを断って現場のヒラ支店長を続けていても、結果を出していれば、40歳を過ぎていても一般的な平均年収を超える可能性もある。
そういう現場タイプで、それなりの数字出せる人は、40歳くらいで退職して独立することが多い。
年功序列はまったくなく、個人の業績(会員数・売上・利益など数字で明らかな結果)が賞与だけでなく毎年の昇給査定にしっかり反映されていた。
もちろん、マネージャーや幹部になる昇進基準も年齢ではなく実力(結果)がすべて。
周りも納得するくらい(数字が公開されているので分かりやすい)本当に力のある人は、20代でマネージャー(課長)になって、30歳で部長クラスに上がっていく。
ただし、マネージャーになったとしても、業績評価の割合が高くなるので、結果(数字)を出さないと、下手するとヒラ(支店長)で結果だしている人より年収が低いという場合もある。
休日は月に7~9日(日曜を含み、祝日を含まない)程度だったか。
しかし、お盆は夏期講習でけっこう忙しく、年末年始は受験の山場なので非常に忙しいため部署によってはまったく休みはない。
勤務時間も問題で、勤務開始時間が昼過ぎで、勤務終了が終電前くらいが定時。
完全に夜型生活なので、他の仕事をしている人たちとは生活リズムがまったく合わない。
私も当時は、深夜3時ごろに床に入って昼の12時前後に起きるというような生活で、それが普通だと感じていた。
今考えると、かなり異常な生活リズムだ。
で、どんな企業だったかというと、社内の雰囲気は悪くなかった。
みんな、けっこう真剣に教育で社会をよくしたいと考えている人が多かった。
中途採用組はよく分からないが、少なくとも新卒採用されている人たちの人間性はかなり良かったと思う。
ただし、変わっている人も多かった。
特に中途採用の人たちはかなり個性的な、まぁちょっとオカシイと感じるような人もチラホラいた。
数字(会員数・売上・利益)については、追及が厳しかったので、数字がうまくいっていないときはストレスで胃が痛んだ記憶がある。
特に夏期講習とか冬期講習などの売上は毎日全社全支店で共有公開され、毎日数字のプレッシャーに圧迫されながら過ごした。
しかし、パワハラと思われるような言動はほぼなかった。
言葉や行動で責められるのではなく、数字を全社に共有されて、公開処刑される感じだった。
逆に、目立った業績をあげると、全社員の前で表彰されたり、実践報告をしたりする機会もあった。
業績評価がしっかりしていたので、売上や利益など数字を出していると、明確な根拠をもとに年収が査定され、昇進については自分からの立候補を奨励された。
一方、結果をださないと幹部クラス(役員級)からヒラ(支店長)に降格という人事もあった。
こんな感じの、それなりの大手の塾。
3年の離職率が5割以上、10年で7,8割が退職。
これが大手塾の離職率と労働環境。
久々に思い出した。
非常に悪いわけでもなかったが、非常に良いともいえない。
ただし、数字を出す自信がある人には、今でもけっこうお薦めできる職場ではある。
↑FC加盟は個人的にナシな選択ですが、この本は評判が良いようですね。私はKindleを持っていないので読めませんが(苦笑)
studypark.info
↑このブログが上記Kindle本の内容を説明してくれています。
私は説明内容に同意します。
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「自分以外の教室運営者を雇用した場合のコストは、最低でも月額二十三万円程度必要です。平均的な運営状況では、投資分の回収ですら数年必要となり、少なくとも私であればとてもリスクに見合わないと判断します。」
「 それはFC個別指導塾事業においては教室長の運営スキルが収益に寄与する度合いが極端に大きいからにほかなりません。さらに、労働集約型ビジネスであるために、規模の経済が作用しにくいという非常に面白い特徴も加わってきます。すなわち、いくら大資本が参入しても、大規模展開によって得られる効率化に限度があるために、零細・中小事業者が多い状況が続くのです。そのため①具体的なノウハウを持たないまま参入した場合は、弱体化しやすい ②平均以上のマネジメント力を持つと、競合弱者から簡単にシェアを奪える という二極分化現象が起こるのです。」
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特に上記2点については、私が自分の体験を通して考えていることとまったく同じです。
自分の言葉でまとめると以下
1.FCを含む個人塾経営において、自分以外に正社員を雇うというのはアリエナイ選択。
2.集客と継続において、資本力で戦う部分より、人間力で戦う部分の比率が極めて高い業種なので、塾の責任者の教育力が高ければ、個人でも十分に競合大企業と戦える。
定年後、自分の教育力と情熱に自信があって、資金と時間が十分にあれば、挑戦してみたいとは思います。