「みのたけ」の 教育・投資・生活etc

可能なら皆幸せな社会が良いけど、実際むずかしいよね …(苦笑

三無主義 イベルメクチンよりアフガニスタン

 

そういえば、今年は中村哲さんの「アフガニスタンの診療所から」からはじまりました。

 

薄くて読みやすい本ですが、中村医師の情念が伝わってくる本です。

 

 

中村さんは、ペシャワールの会の理念を尋ねられると、冗談の通じる人には

「無思想・無節操・無駄」の三無主義 

であると答えて人をケムにまく。

 

「無思想」

特別な考えや立場、思想信条、理論にとらわらないことで、人間の思想などタカが知れているという、現地現場体験から生まれた諦観に基づいている。何も失うものがない人々の天真爛漫な楽天性というのはたしかにある。名誉、財産、主義主張を持ちはじめると、それを守るためにどこか不自然な偽りが生まれ、ロクなことがない。良心や徳とよばれるものでさえ「その人の輝きではなく、もっと大きな、人間が共通に属する真正な輝きである」という説にうなづく。これを自分の業績や所有とするところに倒錯があり、気づかぬ奢りや偽りを生ずると中村哲氏は確信する。

 

「無節操」

だれからでも募金をとる。中村さんにザカート(施し)を要求したペシャワールの物乞いに対して、中村さんが「患者のために東方から来ている。私もムサルマーンで、これもザカートということになりはしないか。あなたも我々の仕事に施しをしなされ」と返したところ、その物乞いは躊躇なく集めた小銭をくれたという。現地の人は心までは貧しくないと中村さんは感じる。以後、中村さん達は「貧しい人に愛の手を」などと惨めたらしい募金はせず、1000円でも数百万円でも等価のものとして一様に感謝してお金をいただくという。

 

「無駄」

あとで「無駄なことをした」と失敗を率直にいえないところに成功も生まれない。嬉しいことも辛いことも、成功も失敗も、ともに泣き笑いを分かち合おうとしている。募金のために活動をアピールすることがあっても、自分を売りわたす、騒々しい自己宣伝とは無縁である。そして、この不器用な朴訥さは、事実さえ商品に仕立てるジャーナリストからもしばしば煙たがられた。

 

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もっともよく現地を理解できる者は、もっともよく日本の心を知る者である。自分を尊重するように相手を尊重しようとするところに国際性の神髄がある。魚を求めているのに蛇を与え、パンを求めているのに石を与えるという、笑えぬ援助の現実があるという。

 

真に謙虚な者は、おおげさに叫ばずとも、見かけの異質さをこえて厳然と存在する「人間」を見いだす。そして彼ら自身はこれを自然の喜びとし、大きな業績であることさえ自覚しなかった、と語る。

 

「人のために何かしてやるというのは偽りだ。援助ではなく、ともに生きることだ。それで我われも支えられるのだ」という中田正一先生の持論。そして中村氏は「現地は外国人の活動場所ではなく、ともに歩む協力現場である」とする。

 

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中村氏は一時帰国した日本について「よけいな厳格さ」「強迫的な正確さ」という表現をする。外観の色とりどりのファッションと対照に、人々はひたすら秩序正しく整然と何物かに静かに流されていく。じつは何かのベルトコンベアーに乗っている、と表現する。

 

「国際協力」は自分の足元を見ることからはじめるべきである。自然破壊なしに経済成長はなく、奴隷なしに貴族はなく、貧困なしに繁栄もない。はたして何に向かっての「発展」なのか。「先進国」も「発展過剰国」と言い換えるべき、と中村氏。

 

もともと人間が失うものは何もない。

 あなたは「あたえることの喜び」を知っていますか?

 

アフガニスタンの診療所から (ちくま文庫)

アフガニスタンの診療所から (ちくま文庫)

  • 作者:中村 哲
  • 発売日: 2005/02/09
  • メディア: 文庫